きたひやま 北檜山温泉  &  高島旅館 島牧村

 
  広大な大地に魅了される北海道。  
 雑誌やTV等、夏になれば特集を組んでいますが、それだけ魅力がある土地です。梅雨がなく、適度な涼しさで大自然が迎えてくれるし、大地からの恵み、海からの恵みを満喫できるので、何度出かけてもいいところです。
 いつの間にか、北海道滞在100泊を越えるまでになりました。
 考えてみると、いろいろな世代がやってくる場所として、そしてリピーターが必ずいるのが北海道かも知れません。
 中学時代、或いは高校生の時には、フェリーに自転車を載せ、到着したらせっせと山道をこいでいるのを見かけます。キャンプ地でも小さなテントから顔を出して、カップラーメンをすすっている姿は何度となく目にする光景の一つです。汗水垂らして素朴な食事を見かけると、思わず声をかけたくなります。
 大学生になるとバイトで少々リッチになり、バイクを操って高原や観光道路を飛ばし、ほんの一瞬で通り過ぎる風景はまさに贅沢極致の周遊です。
 また社会人は車で悠々とやってきます。それから10数年経過すると子供を連れ、ファミリーでテント遊びに興じながら巡っていきます。若い世代の時代に見落としていたものをゆっくりほのぼの、一瞬で終わった風景を1日かけてのんびりと謳歌します。

  ゆったり過ごしたくて、毎年のように北に足が向かったときがあります。でも本当はのんびりすること以上に人の良さに出会えるからリピートしていると言っていいかも知れません。

 北海道の人は一言で言うと裏がありません。よく単純だと言われがちですが、それは裏がないからです。また面倒見がいいのも特徴です。それは拓けてからの時代が浅くて古い伝統が渦巻いていないのと、協力していかないと生きていけなかったからです。札幌近郊では他の都市とあまり変わらなくなってきましたが、少し離れるとなかなかいい出会いが多いものです。
 帯広から本別町に向かい、何処か適当な食事の場所を聞くためにクリーニング屋に入って訪ねたときのことです。
「この近くで、おいしく食べられる所、何処かないですか」 
 店の主人が奥の部屋から出てきました。
「このあたりでねえ…。おい、なんかないか」
 今度は、奥さんが現れました。
「そうねえ。あそこの天ぷら屋だったら、いいんじゃない。」
 背後から娘とお爺ちゃんが出てきては交互に話します。
「少し行ったところの、喫茶店でもおいしい食事を出すよ」
「いんやあ、やっぱり天ぷら屋がいいじゃろう。ここの道を左に行ってその交差点を右に曲がり、そして……」
 食事どころを聞いただけなのに、家族みんな店に出てきて場所を思案し、そして最後の最後は主夫婦が話をまとめて地図までくれました。

 さて北海道は殆ど全て周遊したので、実に様々な宿を利用させてもらいました。何処の宿もリーズナブルに宿泊できるので、財布に優しいです。ここでは「
上質な宿」に入らないものの、数多く宿泊した宿を紹介しようと考えました。
 サロマ湖の「船長の家」のように民宿クラスで豪華な食事を振る舞ってくれた宿は多くあります。知床半島の岩尾別温泉「ホテル地の涯」もなかなかに面白い宿です。公共の「チロルの湯」や「ながぬま温泉」なども魅力があります。
 

  • 瀟洒な温泉ホテル きたひやま
    • 平成7年に第3セクターで建てられた宿です。開館間もない頃に訪ねたこともあってか、緑と白の鮮やかな外観が非常に綺麗だったのを覚えています。また平成11年には天皇皇后両陛下もご宿泊されたとのことです。


    • 道内の各市町村では競って日帰り入浴施設を併設した宿を建設していた時期であり、このきたひやまも露天風呂、サウナ、全身浴、泡沫浴、圧浴、歩行浴、かぶり湯、寝湯、打瀬浴など、様々な温泉施設を備えているのが特徴です。部屋付きの露天風呂は静の愉しみですが、こういったスパはあちこち浸かって遊ぶ、動の愉しみがあります。
    • こざっぱりとしたコンパクトな和室です。夕食は共用レストランではなく、部屋に運ばれてくるのが有り難いです。それも膳スタイルを取らずにテーブルに一皿ごとに置かれるので、ゆったり広がる品々に、どこから箸をつけるか迷わせる楽しさがあります。
    • このせたな町一帯は日本海に面しており、特に鮑とウニが有名です。夕食にはしっかりとどちらも新鮮そのもので登場するのがたまりません。
    • 別注でウニ丼が注文できるというので、豪快に2人前をのせた特盛を注文しました。するとウニを端に寄せたにもかかわらず、御飯にたどりつけずにまたウニが…。本州ではまずお目にかかれないようなウニ丼でした。
    • 参考価格…7000円


  • 幻の宿 高島旅館
    • ここは凄い!です。
    • 古い建物ながら増築をしたというので、そちらに宿泊しました。10畳ほどの和室が海に面しており、シンプルながら落ち着ける部屋でした。あと20歩程歩けば日本海にはまってしまうほど、海沿いにあります。


    • さて何が凄いかというと、それは豪快な魚料理です。当時の主人は「基本的にお刺身は出しません」と話していましたが、真相は全ての魚介が活造りだからだと言うことです。言葉の通り、出てきた夕食は半端ではありません。生きたままの、というより水揚げしたばかりの鮑が一人に4個、針が動いたままの殻付きウニが同様に4個ずつ。その他にイカソーメンがごっそり。甘エビやホタテ、ヒラメにツブ貝にサザエに…。訪れたのが夏だったせいもあるのか、温かいものは味噌汁だけだったようで、あとは全て新鮮な魚介三昧でした。
    • さすがにここまで豪快を徹底していくと、嬉しい悲鳴を通り越して半ば呆れます。酔いもまわって宴も終わりを告げる頃になると、鮑がウニウニ動いて皿から脱走を始めたので、宿には内緒で海に戻してあげました。提供された食事を残したことは幾度かありますが、海に帰したのは後にも先にもこの宿だけとなりました。
    • 最近のHPを見てみると、この高島旅館は大雪で潰れて現在は営業はしておらず、幻の宿となってしまいました。しかし岩内町で「いわない温泉高島旅館」という名前で、もう1軒経営しているようなので、興味ある方はそちらに宿泊されるといいと思います。勿論豪快な魚介三昧はそのままにやっているそうです。
    • 参考価格…12000円

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