山形もち処 餅の星野屋
山形県 山形市
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幼い頃、年の瀬に親父が餅をついていた。
外に放って置いた石臼を丹念に洗い、杵を取り出しての作業。
手伝い始めたときは腰が痛くなったが、それでも多い年は8升ほどつく。
なかなかの重労働なので1回だけ餅つき機を試したことがあったが、
ベタベタで歯ごたえなし。とても食えたものではなかった。
またいつものように手作業が続いた。
東京だった事から餅つき自体が珍しかったようで、
いつの間にか近所の子供や大人が皿と箸持参で集まってくるようになり、
あんこをたっぷりのせて、そこに出来たての餅をぽとんと落とす。
みんな笑顔になり、幸せになる。
年末の我が家の恒例行事だった。
つきたての餅は断然旨い。
久しぶりにその味に近い餅に出会えることが出来た。
山形県の霞城公園付近にある餅の専門店だ。
店内は落ち着いた雰囲気で、餅屋というよりは喫茶店に近い。
ただテーブルは3つ程しか無いので、いつも混んでいる。
いろいろな種類があるが、
しるこやあんこ類はもう一つ。丹波の小豆もいいが、やはり小豆は十勝。
それにここのは緩すぎるのが難点。
一番のお勧めはつきたての「納豆餅」や「ずんだ餅」だろう。
ふっくらな温かみが口中いっぱい広がる。
あの懐かしい味を思い出した瞬間だった。
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