翡翠の里 御宿かわせみ 1階特別室離れ 雛罌粟
ここは別の世界、別の空気を感じます。 飯坂温泉の歓楽や喧噪とは無縁のようにたたずんでいます。 川を2つ挟んだ住宅街にありながら、外からは全景が見えません。 竹林に囲まれ、ひとたび宿に入るや、さきほどまで刻んでいた時計から解放されます。 凛とした空気を感じつつ、緊張することもありません。 居心地いい部屋に通されてしばらくすると、いつの間にか部屋越しに見える樹木や花に目をやります。 何処かにとどめるでなく、右に左に。釘付けされたわけでもないのに、離れません。 全体を見ているような遠景を見ているような…。そう、眺めることを愉しんでいるのです。 静寂です。 部屋のすぐ外をゆっくり流れていく水音、蛙や虫の鳴き声。 竹林のさわさわとした重なりゆく音。 時折たずねてくる鳥のさえずり。 自然が織りなす音のみ僅かに聞こえる心地よさがあります。 耳にも目にも身体にも心地いい、そんな宿です。 |
- 車止めのあるお着きの間(一石の間)まで砂利道が続きます。ゆっくり車を入れつつ、何だか既に心地よくなってくるから不思議です。宿というのは部屋だけではなく、こういったアプローチから始まっており、旅心を優しく包み込んでくれる奥の深さが大切であることを教えてくれます。
- 車が着いた途端に男衆数名で出迎え、後は宿の方に全て任せきりです。一石の間では正座で数名の女性がお迎えします。旅館はもてなしの心が大事ですが、まずみんなでお迎えしてお泊まりいただこう、そう感じさせながら、これからの期待感をいっぱい持たせていくところが、はやり一流なのでしょう。
- いつの間にか旅の疲れを感じることなく、季節の花がそこここに生けられている所を通りながらロビーへ。お抹茶は部屋でお願いすることで、早めに休むことが出来ます。勿論記帳も部屋で済ますことになります。
- 部屋は12畳程の和室と寝室になる8畳がひとつ。3室の部屋もありますが、夫婦で宿泊するには2部屋の「雛罌粟」で十分です。部屋には古代檜風呂と石の露天風呂がひとつずつ。温泉になったのは大浴場だけだと思いましたが、部屋露天も絶え間なく温泉が流れており、何度も何度も湯浴み出来る愉しさが痛快です。
- 大浴場や隣接する露天風呂も入ってきましたが、他のお客が1名のみで、ずいぶんゆったりと過ごしました。遅い時間帯は勿論部屋露天へ。やはり部屋にあるのは有り難いことです。
期待が高まるお品書き | 少々つまんでからの写真(ご愛敬!) |
前菜 | 鮎と茄子の椀物 |
お造りも醤油も三種 | 夏トリュフと三陸産鮑 |
別注の本鮪の大トロ刺しと大トロの炙り | |
清涼感ある大吟醸 | 季節のデザート |
- さて料理は言わずもながら評判通りの折衷懐石料理です。最初に出てくるトルコブルーのかわせみの蓋物は、その鮮やかな色と共に、その後に出てくる料理に期待感を大きく膨らませます。椀物も鮎と茄子で季節感がいっぱいです。色を抑えつつ美に叶った器に盛られる刺身は、刺身醤油も器も3種類。実にこだわりを感じます。夏トリュフと三陸産鮑は絶妙な取り合わせと言えるでしょう。注文した大吟醸はガラス酒器におさまり、お猪口も氷に囲まれ、見た目にもいかに涼しげです。
- 冷酒を美味しく味わっていただきたい、という宿の姿勢が伺える逸品に仕上がっています。別注の本鮪の大トロ刺しと大トロの炙りはもうこの上ない美味としか言いようがありません。
- 「御宿かわせみ」が特段に上質な宿として挙げられるのは、格別な部屋やもてなしのサービスもさることながら、やはりこの料理の美味しさにあります。
何度でも訪れたくなる、お気に入りの宿の一つです。
- 宿泊日 いつも特別な結婚記念日…
- 参考価格 53000円
- 翡翠の里 御宿かわせみの予約
朝食 |
部屋帳を見ると、 30年勤務した仕事を昨日辞めて宿泊、 結婚25周年を記念して宿泊した方など、 人生の節目節目に利用されている方が 多いようです。 |
夕食 | 客室 | 風呂 | サービス | 清潔感 | |
10 | 7 | 6 | 8 | 10 | |
一皿毎に唸る懐石料理 | 静寂な離れ | 内湯も露天もあり | もてなす心抜かり無し | 板廊下◎ | |
器と料理の相性が抜群 | 縁側でゆったり時間 | 坪庭と月明かりが○ | ガラス館にもお伴 | スリッパに客室名 |
近場のお勧めスポット
- 花見山公園
梅、ハナモモ、数種類の桜、レンギョウ、ボケ、サンシュユ、モクレンなどの花々がいっせいに咲き競う、桃源郷と言われる名所。
春以外は近隣の果樹公園が愉しめます。 - 飯坂明治大正ガラス館
かわせみが経営しているガラス館。宿泊すると無料で見学できます。ガラスもいいが、このテラスでのコーヒーもGOOD。