由布院温泉 山荘 無量塔 離れ 「相」

 悠久の思いはせる由布岳。100年先を見据えた街づくり。日本有数の温泉地として人気がある由布院温泉で、歴史ある亀の井別荘や玉の湯と肩を並べ、新興ながら施設の豪華さでトップに躍り出た山荘無量塔。
 由布院は初めてだったので、まずは御三家からという思いに立って宿泊してみることにしました。
 観光客が行き交う由布院温泉街より少々小高い山林に向かいます。山の麓という言葉が似合いそうな所に山荘無量塔があります。車で何処だろうと探しているうちに、路上に数名が待機しているところに…。見上げると、無量塔の看板がありました。車のキーを渡し、宿に到着するとすぐに係の者が数名迎え、談話室とショップを兼ねた蔵拙に案内されます。数種類のソフトドリンクとお茶菓子でもてなされた後、客室へ向かうことになりました。しかし案内をされた方が男性だったのですが、先頭立って部屋にあがるところから、この宿のハードとソフトの大きなギャップを思い知らされることになりました。
 

メゾネットタイプの客室 1Fリビング
和室 庭を眺める

  • この無量塔は12室ほどの離れ構成になっています。
    宿泊した「相」は山荘の中程に位置する客室で、メゾネットタイプで130uの広さがあり、15畳の洋室リビングと10畳和室に2階に8畳のベットルーム、内風呂という構成です。主要な柱のみ新潟より移築し、他は全て現代的なデザイナーが手がけた設計だと言うことです。和室は10畳ということですが、窓側の広縁が無いので、やや狭く感じます。
  • 2Fのベッドルームは明かり取りの窓は控えめにして、適度な照明もGoodです。マットはほどよく硬く、寝心地もいいです。しかも由布院とはいえ、ほぼ森の中の一軒家のようなものなので、静けさも言うことありません。ベッドルームは広さよりも、程よい狭さが必要なときがあります。メゾネットタイプはベッドルームだけ独立しているので、余計な広さが無い分落ち着けます。
  • 室内の浴室は温泉がたゆまず流れ、湯加減もちょうど良く保たれています。無量塔には大浴場が無いので、この客室の浴室だけが湯浴みする場所となります。引き戸を開けると半露天風呂風になりますが、臨めるのは植栽程度です。もう少し視界が開けると、気分も一層ゆったり出来ることになります。
  • 自らのハードに誉れる姿勢が垣間見えます。
    「九州男児が考えたコンセプトの宿」と言ったところでしょうか。女性の視点から宿を見つめたことがあるのか、疑問を抱きます。華やいだ気持ちをやんわり抑えつつ、和の情緒を醸し出す浴衣や帯に色合いのセンス等無く、伴侶が化粧する鏡は和室の片隅の暗いところに追いやられています。
  • Barに出掛けるときは、盛夏なのに硬くて野暮ったい作務衣に着替えなければなりません。
    愛知の角上楼に同じ名前のタンズルームや和久楽がありますが、勿論浴衣でもOKとなっています。Tan'barは何のために夕刻より宿泊者専用としたのでしょうか。体裁よりも、着替えの手間を省くことこそ客本位に立った考え方だと思います。惜しまれる無粋な計らいです。
2Fベッドルーム 庭のバルコニー
MURATAのコーヒー 内風呂
居心地のいいTan's Bar 劇場用のスピーカー

  • 朝食を終えた後にコーヒーをいただきにTan's barに入りました。ここを担当している方は対応が素晴らしかったです。Barの雰囲気にあってクールな気もしましたが、話しかけると出来る限りの事を叶えようという気持ちが伝わってきます。お薦めの場所を訪ねたところ、わざわざマップも用意し、事細かく教えてくれました。こういった些細な部分から、コーヒーの味も格別になるものです。
満願寺の先付 伊勢エビの椀物
向付 八寸 地鶏鍋
蛤豆腐 季節のデザート

  • 夕食は客室の和室でいただきます。
    一言で言うと由布院の食材を中心とした田舎料理という内容です。味わいは普段使いの料理を思い浮かべれば、間違いありません。椀物は濃い味付け、止椀は湯に赤味噌を溶いただけのもので、出汁を完全に忘れています。メインの地鶏鋤は甘味噌仕立てで、色も味も濃くなり折角の淡泊な鳥の味わいが台無しです。冷酒を頼んでも錫の酒器。錫は飲む酒をまろやかにすると言われていますが、夏はどんどんぬるくなるばかりです。季節を考慮するなら涼やかなガラス酒器を使用したり、氷を添えたりすべきでしょう。2本目を注文する気にはなれませんでした。
  • こういった料理に板長がどれだけ関わっていたのか疑問を感じます。「相」と「袍」の間仕切りで担当の仲居さんが作っているだけに過ぎないかも知れません。
    「この止椀、飲んでみれば分かるでしょう?」。
    料理のことを始め、ソフト面の改善を口頭でも話し、アンケート用紙にも書いてきましたが、その後の連絡はありません。私達が宿泊した日だけ、たまたま食事に不手際があったのであればまだ良しとしても、他の点を含めて回答が無いのは残念なことです。
     
  • 夕食後は間仕切りの厨房?より食器を片付ける音が延々続きます。そういった生活音から離れるべきの客室であるのに、疎かにしている部分が幾つも出てくるのは、改めて旅館はソフトが基本であることを認識することになりました。
  • HPやブログを拝見すると、何度でも泊まりたくなる宿の一つとして記されています。それは無量塔への憧れや宿泊したことの満足感、施設の充足感なのでしょうか。ハード面は確かに卓越したものがあるので、客本位に立った改善を切に願いたいと思います。そうすることで由布院御三家としての実力を存分に知らしめていくことになるでしょう。全国的に有名な宿でもあるので、今後に期待したいと思います。
                                                                    
  • 宿泊日 蝉嘶く喧噪な夏
  • 参考価格 63000円
  • 山荘 無量塔の予約
  • ここに記したことはあくまでも我が家の場合の感想に過ぎません。
    いろいろな事前の判断材料がありますが、
    最後はご自分で宿泊して、納得していただくことに尽きると思います。


夕食 客室 風呂 サービス 清潔感
味付けに統一性を 広々とした造り 開放的な内風呂 可も不可も無し 行き届く手入れ
問われる料理の管理 心地いいベッド 欲しい露天風呂 秀逸なBar 館全体

温泉リポート タビエル:無量塔の宿泊レポート

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