日本料理おかざき
宮城県仙台市



 夜に出掛けるときは、デジカメは基本的に持参しない。
 だからこのHPで紹介している店の殆どはランチ時である。
 

 なぜ?
 ポケットがかさばる、酔いが覚める、スマートではない、野暮ったい…
 いろいろあるが、何となく持ちたくない、というのが本心だろう。
 
 様々な理由を付けたが、
 夜の料理屋でお勧めしたい所があったので、写真無しで紹介したい。
 
 難しい。
 その分沢山書かなければならないから(笑)…。
 
   何処まで表現できるかどうか分からないが、やってみよう。

 
 日本料理おかざき。
 東北一の繁華街?国分町から歩いて5.6分の外れにある。
 実はこの一帯で暮らした事があるので、懐かしい場所である。
 
 店は小さい。こんな片隅に料理屋があるとは思えない所だ。
 
 中は僅かに数坪。板場と対峙してカウンターが5席。
 2階にテーブル席もあるが、お世辞にもお勧めできない。
 カウンターが予約できなければ、断念した方がよい。 
 
 「いらっしゃいませ」
 物静かで、落ち着いたトーンだ。
 30代前半の板長、岡崎敏彰氏の和らいだ声と共に前菜から始まった。
 料理は酢の物、お造り、煮物、出汁椀、焼物、お食事、水菓子などである。
 
 飛び切り美味しいというわけではないが、丁寧な手仕事を感じる。
 食材を生かすことに専念して、華美な演出がないことも
 食する側には好印象だ。

 なだらかな道を歩くように料理が登場するが、
 幾分起伏に富んだ道があると、さらに散策の愉しみも増していくことだろう。
 また日本酒は地酒が数種類のみだった。これはあまりに少なすぎた。
 
 東北のためなのだろうか、椀物の出汁がやや濃いことを伝えると、
 「そうでしたか。覚えましたのでまたいらしてください」
 
 料理は全てが万人好みの味になっている訳ではない。
 万人好みに近い味で統一しているだけだ。
 作る側に個性があるように、食する側にも嗜好の違いがあり、味覚が異なる。
 そう考えると、客人に合わせて調節するのが、本来の料理人であろう。
 だがそういった料理人は希有であるし、ちょくちょく来店する客でも自ずと限度がある。
 まして出汁は料理の礎となる根幹部分だ。
 そこに要望が入れば、面白くはないだろう。
 
 だが、
 僅か30そこそこの青年が、年齢的に遙か上の客に対して逆らえる筈が無い。
 恐縮し、その場しのぎに味を整えておくと伝えるのが、
 一番波風が立たなくて良い。
 酔客の戯れ言と捉えれば、聞き流す事で終わりにするも良い。

 しかし彼は、
 今後歳を重ねても、相手の味覚に対し、客人の要望に対して合わせていく柔軟性を感じる。
 確固たる自信というようり、
 料理に対する真摯な目と謙虚な姿勢を鑑み、そう思うのだ。

 7品ほどのコースで3800円。
 「本当はその料金が良かったんだろう」
 確かに、それもある(笑)。
 
 だが手頃な料金でも手間暇を忘れていない。
 美味しく食べて貰いたいという初心は忘れず、
 何より料理を作ることに喜びを感じている。
 
 開店してまだ1年も経過していない。
 この姿勢を本物とみれば、
 彼の40代は、またひとつ華開いているに違いない。
 そう予感させる料理人だった。

 ※参考…おかざきで参照可。



  • 住所           宮城県仙台市青葉区春日町10-28  
  • 連絡先        022-266-7282
  • アクセス     仙台市営地下鉄 勾当台公園駅より 歩8分 
  • 営業時間     12:00〜14:00  18:00〜22:00   
     
雰囲気…   味…  料金…

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