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全国の器巡りがそろそろ佳境に入った。
栃木の「益子焼」、茨城の「笠間焼」、愛知の「瀬戸焼」、岐阜の「美濃焼」、
石川の「九谷焼」、佐賀の「有田焼」、長崎の「波佐見焼」、
そして今回、岡山の「備前焼」と兵庫の「丹波焼」の2窯を巡ってきた。
備前や丹波は、瀬戸、常滑、信楽、越前とともに、
日本六古窯の一つに数えられるほど古い窯の一つだ。
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備前では150とも200とも言われている窯元があり、丹波でも60余り。
今回は美濃焼の代表である「幸兵衛窯」や
有田の「柿右衛門窯」のように工房巡りはせず、
それぞれの地域の作品が置かれている拠点施設のみの見学であったが、
食指が動く器は1、2点のみ。殆ど興味が沸かなかった。
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その土地ならではの伝統的な陶土や焼成方法があるので、
何処の窯元もある程度は色合いが近くなるのは仕方ないことであるが、
もっと独創的な作品を造っていく窯元はないのだろうか。
器は腐るものではないので、
拠点施設ではまさに放置状態だったと言っても良いかも知れない。
他の客も目を通すものの、購入していく姿は殆ど見られなかった。
これでは各窯元が生業として成り立っているのか、
飯が食っていけるのか、心配するほどであった。
競合する”個人商店”が連なっているのであれば、
他店には負けない独自色を出したり、形を追求したりして、
埋もれないように発奮するのだろうが、それらが見られない。
どれもこれも似たり寄ったりだ。
200店もひしめき合っているからこそ、
他とは異なる世界を描き出してほしいものである。
現在は日本の伝統的な世界に若手がどんどん参入してきている。
彼らは伝統にあぐらをかくのでは無く、ある意味その伝統を打ち壊して、
新しい世界を創り出している。
だからこそ現代に受けいられ活躍しているのだ。 |
丹波焼で目を引いた魅力的な作品を紹介したい。
昇陽窯三代目の大上裕樹氏。
丹波の土の質感を生かし、独特の幾何学模様が魅力だ。
他の窯には無い独特技法で作られた作品で
丹波焼の中では異端児的な存在であるが、
だからこそ見る者が足を止める。
年齢はこれからの30歳。
先駆者となって古い体質をぶっ壊し、
新しい世界を切り拓いていってほしいものである。
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