遠刈田温泉 別邸 山風木 ジャパニーズモダンスィート
宮城県の遠刈田温泉には全国的に有名な「だいこんの花」があります。温泉街から少々離れたところにしっとりと佇んでいる宿で、全室離れの形を取ってプライべート感覚はなかなかです。しかし肝心の里山料理に物足りなさを感じたことがあります。
今回宿泊した「別邸 山風木」は、温泉街にある「旬菜湯宿 旅館大忠」の別邸として2006年10月に誕生しました。山風木は温泉街に行く手前の別荘地にありますが、国道からの入り口が少々分かりにくいため、よく聞いてから出かけた方がいいと思います。里山に囲まれているものの、別荘地は平坦なところが多いため、全体的に明るくて開放的なところに建っています。敷地が2300坪あって、部屋数は9つのみなので、大人の隠れ家的な存在です。ただ庭木がまだ整備されていないためか、敷地がストレートに感じられ、適度な隠し木や茂みが欲しいところです。
蓮の花が咲く池を囲うように平屋造りの部屋があります。そしてこのジャパニーズモダンスィート1室のみが2階にあります。
1階には1人が入っただけでいっぱいになりそうな小さなライブラリーとDVDコーナーがあります。ロータスダイニングというレストランで夕食や朝食をいただきますが、カウンターは3組程度が座ればいっぱい、個室風のテーブルが一つ、あとは池を眺める窓際にオープンにテーブルが配置されています。またダイニング入り口にはひんやりとした酒蔵があり、日本酒、焼酎、ワイン、梅酒と好みに合った酒を自由に手に取って選ぶことが出来ます。
再訪(ジャパニーズクラシックスイート)はこちら
蓮池より客室を臨む | ロータスダイニング |
ジャパニーズモダンスィート |
Happy birthday! |
- 唯一の2階部屋です。階段自体がこの部屋のためだけにあるので、お籠もり感がいっぱいです。但し窓からの眺めはさほどではなく、宿の周囲の別荘が見える程度です。朝はそこここから湯気が立ち籠め、別荘地ながらひなびた空気が感じられます。
- 部屋はリビングとベッドルームのみで、畳はありません。フローリングに軽い彫りが入れてあるため、素足で歩くと足ツボを刺激してくれるのが快いです。リビングではコーヒーなどが自由に飲めるようになっており、宿泊客の意向に心配りが感じられます。イサムノノグチのテーブルとバルセロナチェアが配されていますが、一目で気に入ってしまい、我が家でも同様の物を購入しました。
- この宿の1番の自慢はオーベルジュ(食事を出す小さな宿)を謳っているところです。旅館に泊まって2食が付くというのではなく、食事を楽しむために宿泊していただくというように、コンセプトがはっきりしています。そのため蔵王の恵みをふんだんに使用した料理は、見事と言っても過言ではありません。
- 供される食事は、まずその美しさに目を奪われます。突き出しとして出される前菜だけでも、12種類ほどの可愛い料理(蔵王チーズの醍醐味豆腐、鰻の生姜和え、スナックえんどうのグラタン、焼き貝柱の黄身和え、トマトとモツァレラのオーブン焼き、百合根の生ハム包み、岩魚のたたきおくら、桜海老といんげんの白和え、海老のチリソース、蒸し鶏のチーズ巻き、ごぼうの胡麻和えなど)が並べられ、どこから箸をすすめるか惑うほどです。
- 続くふろふき大根や刺身も和牛のステーキも美味で、最後の混ぜ御飯まで満足できます。またデザートの後には、部屋に持参できるように小さな箱に入ったお稲荷さんがプレゼントされます。満腹なのにそのお夜食を持って帰る自分が、なかなか滑稽です。
- 会席料理だけでも十分ですが、それでも飽き足らない諸姉には季節のおばんさいが振る舞われます。ダイニングの一角に野菜料理を中心に玉こんにゃくなどもあり、自由に選ぶことが出来ます。このあたりは本館の大忠と同様の形を取って宿泊客を喜ばせます。
- 今回は妻のバースデーに合わせて宿泊したので、ケーキとワイン、花束も用意してもらいました。花はお願いしたとおり十分なボリュームでしたが、いささか疲れていたのが悔やまれます。
- 前の晩にあんなに食べても、朝食も見た目が鮮やかなので、食がすすみます。カウンターで食事をして、コーヒーはテーブル席に用意する心遣いが嬉しいです。また1階のラウンジでも自由にハワイアンコーヒーがいただけるのが有り難いです。部屋でもダイニングでもラウンジでも様々なコーヒーが楽しめ、好きな方にはたまりません。
- 露天風呂で一緒になった宿泊客の方も「だいこんの花は食べるものが少なすぎる」と嘆いていました。遠刈田温泉で食べる愉しみを考えて宿を予約するのであれば、断然「山風木」をお勧めします。
- この宿の唯一惜しまれるところは、部屋に露天風呂はおろか風呂さえも(9室全て)無いことです。貸切風呂はあるものの、常時入れるわけではなく、夜は10時を過ぎると閉まってしまいます。遅い時間帯に女性が一人で大浴場や露天風呂に行くのは少々怖さもあります。別荘地で湯の供給が限られているということもありますが、ジャパニーズモダンスィートという特別室であるならば、せめてこの部屋だけでも露天風呂を設えることを願いたいです。
- 「風と木々の湯」「月と風の湯」の開放感と居心地の良さはなかなかのものです。
- 宿泊日…妻を祝福する冬のひととき
- 参考価格 一泊29000円(花束含まず)
- 再訪編(ジャパニーズクラシックスイート)はこちら
- 別邸 山風木の予約
夕食 | 客室 | 風呂 | サービス | 清潔感 | |
8 | 7 | 6 | 7 | 9 | |
彩りが美しい前菜の数々 | 適度にコンパクト | 客室に欲しい露天 | てきぱき若いスタッフ | 出来たばかりで綺麗 | |
選べるおばんざいも◎ | ベッドの寝心地がgood | 貸切風呂数の充実を | 記念写真は不要 | 宿全体に清潔感 |
近場のお勧め?スポット