磐梯熱海温泉 離れの宿 よもぎ埜 露天風呂付客室 蝉丸
磐梯熱海温泉が発見されたのは今からおよそ800年前の鎌倉時代と言われており、次のような伝説が残っています。
南北朝時代・建武のころ、京に住む公卿の娘で萩姫という美しい姫が不治の病にかかり苦しんでいました。
ある夜、不動明王のお告げがあり「都を去る東北方、数えて五百本目の川岸に霊泉あり。それに浸かれば全快する。」
と聞きおよんだ姫は、侍女の雪枝を伴い都を旅立ち、幾多の困難辛苦の末、 ついに五百本目の川にたどりつきました。
ここに湧き出るお湯で難病も全快し、この湯に深く感謝をして京へ戻ったと言われています。そのためこの磐梯熱海温泉に流れる川を五百川と呼んでいるそうです。
さてこの磐梯熱海温泉には魅力的な宿が多くあります。今回は「離れの宿よもぎ埜」に宿泊しました。
よもぎ埜は明治時代の煉瓦造りを思わせるような洋館の佇まいをしていますが、一歩中に入れば、全14室が離れで和室二間以上の純然たる和の構成になっています。
その中で露天風呂を2つ抱えた1番人気の「蝉丸」は、10畳と8畳と4畳の三間に竹林側に畳の縁側がを抱えた広々とした客室です。冬の滞在のため、8畳間には炬燵が備えてあり、お茶菓子類もここで戴きます。10畳の方には夕朝食時に使用する高さを抑えた和風のテーブルがあります。畳に直接腰掛けるのも趣ありますが、和室にダイニングテーブルがあることで随分楽な姿勢で食事をすることが出来、なかなかいいものだと思いました。
また奥にはマッサージ機が備えてありましたが、我が家のと比較すると揉み具合がもう一つで、またこういった物はあまり共用したいものではないので、数分試しただけで終わりとしました。
- フロントから石橋亭の蝉丸に向かう通路はもう1部屋の通小町だけなので、他の客と出会うことはありません。またこの蝉丸は一番奥まった所にあり、ひとつひとつの客室が独立した平屋造りになっているので、何時でもいたって静かです。但し景観は裏の里山を眺められる程度にすぎません。
- ゆっくり過ごせる宿ですが、「ここを改善してくれれば、もっと快適になるのに…」
それが幾つも出てくると「次善な宿」にせざる得ません。
桜見の露天風呂は塩素臭で湯ったり出来ない、日本一小さな露天風呂と謳っている風呂は目隠しが足りずに視線が気になる、客室も同様で縁側から反対側の客室が覗けたりフロントも見える、部屋露天は湯温が足りず清潔感にも乏しい、備え付けの電化品類のコード処理が出来ていない、客の出入りと業者の出入りが同じフロントを使用…。
宿泊するのは非日常を味わうためですが、こういった点で日常に戻されるのはいいものではありません。
- 部屋にある風呂は1人でいっぱいの岩露天とその湯を流し込む五右衛門風のプラ風呂。どちらも風情に欠き、ここも隣室の視線が気になるのが残念なところです。露天は早々に引き揚げ、室内の檜風呂でゆったり浸かるのがこの客室の使い方でしょう。
- 夕食は部屋でいただきます。日本料理の細やかな味付けで全12品ほどです。椀も造里も上品でいいですが、鮑ステーキは単なる踊り焼きで工夫が必要でしょう。温かい物は温かく、冷たい物は冷たく1品ずつ出す宿なので、鮑もそのまま出すのではなく、板長の手腕を問いたいところです。
- 旅館では様々な器が登場しますが、料理との相性を中心によく見ています。よもぎ埜では上段の緑の向付けの器があまりに鮮やかで、一目惚れをしてしまいました。聞いてみたところ不明でしたが、ネットで調べてみると有田焼であることが分かったので、来年は是非出掛けて購入してみようと思います。
- フロント付近に小さな土産物コーナーやつろぎサロンがあります。コーヒーを自由に飲むことが出来、ほっとできる憩いの場になっています。
- この宿のコンセプトは何でしょうか。
所謂高級旅館でもない、懐石料理を特別謳う訳でもない、かといってソフト面を充実させている訳でもありません。客室数を僅かに抑えているにも拘わらず、カラオケスナックも存在しています。
「お発ちの際はお抹茶をどうぞ」とありますが、客の立場で考えれば、本来はチェックアウト際に限らずにお願いしたいものです。
担当の仲居さんは、料理を運ぶ度に先代や従業員数、待遇面等の俗世間の話を滔滔とします。特段サービス面の教育をされることなく、普通の振る舞いであったことがこの宿を物語っているようです。
- 宿泊日 木枯らし舞う冬の訪れ
- 参考価格 47500円
- 離れの宿 よもぎ埜の予約
朝食は素晴らしい! 品数多く、手作りの湯豆腐やだし巻き卵、鱈の焼き物、野菜サラダ、烏賊のお刺身など テーブルいっぱいに置かれます。 薄味に統一されて御飯が何杯も進みます。 |
夕食 | 客室 | 風呂 | サービス | 清潔感 | |
7 | 7 | 6 | 6 | 5 | |
郷土風の料理 | 静かな佇まい | 内湯も露天もあり | 普通の対応 | 室内外に手垢 | |
薄めの出汁 | 寝食別の造り | 湯量豊富 | 田舎旅館の風情 | 雑な物処理 |