ほのぼの

徒然なるままに
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  母の日に思う



ある週末の出来事です。

いつものように買い物に出かけてみると、ちょうど母の日セールの真っ最中でした。
婦人服の売り場、そしてアクセサリー、パジャマ売り場と、
きれいに包装されたギフト用品が何処のコーナーにも並べてありました。

着飾られたフロアの中で靴選びをしていると、
エスカレーターから上がってきたばかりの女性客が、
一番前に陳列してあった298円のスリッパを抱え、足早にレジに向かっていきました。
甲高い声で、
「プレゼントにするから、そのきれいな箱に入れて包んでちょうだい」
店員に向かって命令調で話すと、すかさず、
「母の日ありがとうのシール、忘れずに頼むわよ」
そう言って渡された品物をかかえると、
乾いたハイヒールの音を残して、そそくさと立ち去っていきました。

休日だったせいもあってか、
幼稚園の年長ぐらいの女の子がいました。
迷い続けながら、あれこれハンカチを手に取っていました。
しばらくすると、ピンクの無地にワンポイント刺繍が入ったハンカチに決め、
レジに持ち寄りました。
「お母さんにあげるの?」
レジの人が聞くと、大きな瞳で頷きながら、
ちっちゃな財布から100円玉を2個、50円玉を3個、大事そうに出しました。 
「えらいわねえ」
頭をなでられた女の子は嬉しそうに喜びながら、お釣りを財布にしまい、
花柄の包装紙で包んでもらったハンカチを大切に胸にかかえて帰っていきました。

ほんの10数分の中で垣間見た、人間模様でした。