由布院温泉 玉の湯 内風呂付き客室 ひわ

 
 由布院御三家に宿泊した多くの人が支持する玉の湯。
無量塔に無いものは何なのでしょうか。

水を打ったアプローチ 清清しい緑
玉の湯玄関 離れより
小粋な休憩処 中庭

  玉の湯の良さは、このふんだんな緑に囲まれた風景にあるように思います。

 宿の中に緑を配したと言うより、生い茂った雑木林の中に宿がある、と言った方が的確です。自然木を中心に茂った緑を出来る限りそのまま残しています。かといって野放しにしているわけではなく、そのままであるかのように見事に管理が行き届いています。
 特に玄関へのアプローチを歩いていると、まるでお気に入りの散策路のようで、それだけでも清清しい気持ちになってきます。心が洗われるような清澄な佇まいに、宿泊する者には由布院街の喧噪が嘘のように確かな静寂が約束されます。
  離れを中心とした客室は林の中に溶け込むように点在しています。10畳程度の和室と洋室が中心となった客室は個々に玄関があり、適度なプライバシーが保たれています。それでいて孤立感はありません。それぞれをつなぐ回廊は和風情緒を盛り立て、下駄がよく似合います。

 
客室から出るのは露天風呂に行くときだけという宿が多い中、小粋な土産物屋やTea Room、Nikol's Barなどがあり、それぞれの所でゆったりとした時間を過ごすことが出来ます。また読書コーナーや談話室が設けられているので、森林浴さながらで読書にふけるも良し、うたた寝するも良し、それぞれ思い思いに自由気ままな時間が流れます。形だけの宿ではなく、客本位に立った観点で施設を備えているところが優れているところでしょう。
 溢れる自然の中に和の良さを十二分に取り入れ、数十年の歳月で情緒を醸し出している玉の湯。ウィークデーにも関わらず満室だったのは、そういった宿の姿勢を訪れる人が感じ取っているからなのでしょう。


お品書き 前菜
季節の小鉢 大分の海の幸
田舎風煮物 鮎の塩焼
無花果との取り合わせ 鴨鍋
由布牛グリル お吸い物
季節のデザート

  • 玉の湯の自慢はもうひとつあります。この夕食です。
  • 基本は由布院の田舎料理です。懐石でも会席でもなく、華美な演出をするこなく食材を味わいます。この点は無量塔や亀の井別荘も同様です。違いは豊富な品数と吸い物やメインディッシュが選べる幅の広さでしょう。前菜から始まり、ふんだんな地物野菜を始め、刺身、魚、肉とバラエティーに富んでいます。全体的に味は薄めで素材をそのまま愉しむにはちょうどいい案配です。最初に1、2品登場し、その後は1品ずつ客室まで運んできます。
  • この宿の食事で驚かされるのは、メインを1つずつ選択しても2人分で登場するところです。1人にしては大きな鍋が出てきて、野菜や肉も大鉢でどっさり2人前。グリルも開けてみるとボリュームあるステーキが2人前…。つまりメインとなるものを2つ選択した事になります。「相方が注文した物をちょっとつまんでみたい」。そういう思いに応えたのか、それともサービスなのか。どちらにしても宿のスタンスの何と大らかなことでしょうか。実に愉快です。
  • 朝食も同様の考えがあります。十分な品数がテーブルに並べられた後、
    「どうぞごゆっくり召し上がって下さい。この食事は全ておかわりが出来ますので、お声がけ下さい」
    絶句です。味噌汁や御飯ならともかく、他の物も全ておかわり可能とは…。
    こういったコンセプトなので、夕食や朝食などの食事をメインとして宿選びする人にとって、大変魅力的であると言えます。
10畳の和室 寝室
床の間 化粧室
開放的な客室風呂 アメニティ
客室からの外風景 小粋な置物

  • 客室は「ひわ」。中程にある独立した部屋です。10畳和室に10畳の寝室。化粧室や内風呂を備え、窓を開けると森林浴?が可能になります。全体的に数十年経過した建物なので、古めかしい所もありますが、使い勝手は悪くありません。室内から眺める外風景が気持ちを和ませます。
  • 夕食を頂くテーブルや座椅子などは少々くたびれています。テーブルは直に食事の皿が並べられるので、新しい物に付け替えた方が良さそうです。また室外に魅力的な施設が多い宿なので、客室の鍵も2つ欲しいところです。
  • 外風呂の露天風呂は雑木林に囲まれ、小さいながらも気持ちいいです。目線に緑が広がり、何処かの別荘で過ごしているような静けさです。湯はとうとうと溢れ、贅沢なひとときも溢れてきます。
  •  
情緒ある回廊
玄関前
  • 和風情緒溢れる宿の景観に、あたかも雑木林に迷い込んだように自然を取り入れた敷地。
    日本人が大好きな、そして日本人が一番心休まる空間を提供している玉の湯。人気があるのも納得できました。

夕食 客室 風呂 サービス 清潔感
品数豊富 落ち着きある客室 木風呂 客本位のもてなし メインテナンス要
メインは2人前 改善の余地 豊富な湯量 充実した周辺施設 改良余地あり

ページトップへ