飛騨古川 八ツ三館 先月楼 聚楽亭
古川は高山と同様、江戸時代に天領となった飛騨古川。
伝統ある城下町には、出格子の商家や白壁の土蔵が続き、鯉の泳ぐ清らかな瀬戸川のせせらぎが聞こえます。初めて訪れるのに、どこか懐かしい雰囲気。市街中心部には他にも、壱之町、弐之町、三之町といった古い町並みが残り、飛騨の匠の技と心意気が息づいています。また町中には和ろうそくの老舗や、切り絵工房、伝統工芸・一位一刀彫の工房、美術館なども点在。気の向くままに立ち寄れる所です。和風情緒溢れる宿の景観に、あたかも雑木林に迷い込んだように自然を取り入れた敷地がまさに懐かしいと思わせる町となっています。
飛騨古川に入る直前、道の駅でたまたま地元の方と触れ合う機会がありました。
小振りのトマトを流れていた水で洗いながら、「ひとつどうですか」
いただくとみずみずしくて美味しかったです。
そこから会話が弾みました。何でも地元で木を伐採している林業の方でしたが、古川で暮らして60数年。定年を迎えて記念に北海道に出掛けたこと、仕事を変えて楽しんでいること、古川の町は素晴らしいところだと言うこと…。これから訪ねる宿を教えると「なかなかいい宿ですよ」という返事だったので、思わず喜びましたが、それ以上に気軽に声を掛けて頂いたことが嬉しかったです。
その後10数分でカーナビに案内されたものの、今度は袋小路に突入。またまた近隣の方が出てきて、車のバックのお世話をしてくれるし、後ろの車はクラクションを鳴らすことなく悠悠と待っていてくれたりと、来たばかりの町なのに、幾度も地元の温かな人情に触れた旅となりました。
勿論八ッ三館までの細かい道案内をしてくれたので、無事到着出来たのは言うまでもありません。
庭に面した居間 | |
和風のベッドルーム | |
広縁から庭を眺める | マッサージチェア |
囲炉裏の間 | 次の間 |
広々とした気分で休める客室構成 | |
- 今回宿泊した客室は先月楼の聚楽という数寄屋造りの特別室です。囲炉裏の間、次の間、居間、ベッドルーム、奥の間と部屋だけで5つあります。2つの客室だったところを改装して、1つの客室にしたのでしょう。部屋に入るときは囲炉裏の間、次の間を必ず通るようになります。大人数で泊まらない限り、この2部屋は殆ど使用することは無いと思います。
居間だけで15畳あり、広縁の向こうには専用の庭が広がっており、ゆったりしたひとときを過ごせます。 - 隣室のベッドルームは程よい広さです。和風の部屋に硬めのベッドが置かれ、寝心地もなかなかのものです。
- 客室の広さは127㎡あり、広縁やパウダールームの他に、広々とした露天風呂も備わっています。
- 客室風呂は地下水を温めているということですが、大理石をくり抜いた浴槽は六角形でいつも湯が溢れています。
チェアが2つ置いてあり、2面の窓は全開にすることも可能なので、寒いときは内湯として、暖かな季節は完全な露天風呂として楽しめます。川に面しているためか、時折吹く風が心地いいです。
緑眩しい庭露天 | |
パウダールーム | 十分なタオルとバスローブ |
木と照明が織りなす情緒 | |
冷蔵庫もコーヒーメーカーも完備。 置いてあるだけで愉しい 小瓶のウィスキー |
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カウンターバー風の処で甘酸っぱいカクテルで乾杯した後に個室の食事処に案内されます。 通された部屋は絵ローソクの灯がともる薄暗い演出、華やかな照明で夕食がスタートです。 |
食事処 | 噺上手なご主人 |
先付け(飛騨トマト豆腐/じゅんさい) | 八寸(鰻味噌焼/焼茄子琥珀寄せなど) |
造り(川河豚/鱸) | 温物(飛騨けんとん飛龍頭/南瓜羽二重) |
鮎の塩焼き | |
飛騨牛焼霜 | 海老梅春巻きの揚物 |
冷やしとろろ蕎麦 | 蓬莱 監査特別原酒 |
御飯 | 水の物 |
- 料理旅館と銘打っているとおり、食材や調理にこだわっている会席風の膳が並びます。
- 地元飛騨の味噌/牛肉/野菜/漬け物といった食材が賑わいます。全体的にやや塩加減が多いと思うかも知れません。また冷たい物から冷たい物といった順序で出るとがあるので、温かな物も交えながらの献立だと、より一層食が進むと思います。
- 変わっていたのが鮎の塩焼き。花と共にかごに入れられて登場しました。こういった演出は初めてで、面白いと言うよりは目が点になりました。
- メインと呼べるのは強肴の飛騨牛と焼物の鮎といったところでしょうか。全体的に13~14品と数は多かったですが、楽しみにしている出汁の効いた椀物は無く、さほど印象に残った料理はありません。山里ならではの素朴な宗和流本膳くずしのおしどり膳があるということなので、次回宿泊するときは酒に合いそうな膳?をいただいてみようかと思います。また料亭らしい料理を楽しめるようなので、季節を変えて再訪したいと考えています。
- ご主人の語りが絶品でした。
食事時に合わせ、野麦峠の女工の話、明治からの八ッ三館の歴史など事細かく説明され、時折絶妙なタイミングで笑いを誘うなど、楽しいひとときでした。
何処の個室にも届く甲高い声で話をされますが、折角の機会だったので、酒の肴と日本酒を持参して通路に出てどっかと座りました。仲居さんたちが足早に料理を運ぶのに合わせ、ご主人が素早くドアを開け閉めするのにくすっと笑いつつ、いい案配で酔いしれました。
古の時代を感じる | |
朝御飯が進む朴葉味噌 |
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夕食 | 客室 | 風呂 | サービス | 清潔感 | |
7 | 8 | 8 | 9 | 8 | |
料理にもう一工夫 | 明るい居間とベッドルーム | 悠悠とした佇まい | もてなしに感謝 | 黒光りな本館 | |
山里風の郷土料理 | 備品類も充実 | 温泉なら◎ | 感じる心遣い | 昔の物を大切に |
近場のお勧めスポット
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