つなぎ温泉 ひぃなの丘湖山荘 離れ 駒形 露天風呂付客室

 平安末期に源義家が温泉が湧いているのを発見し、愛馬の傷をこの温泉で洗うと快癒したので、義家も愛馬を穴のあいた石に繋いで入浴したと言われています。それ以来繋温泉(つなぎ温泉)と呼ばれるようになったといわれています。
 この湖山荘は、そのつなぎ温泉街から少し離れた高台にある1軒宿の温泉です。見渡す限りの大きな御所湖に面し、奥には岩手山の雄姿と秋田駒ケ岳の臨むことができる、最適なロケーションにあります。10数年前に宿泊したときはまだ離れは無かったものの、部屋数のわりには大きな露天風呂を抱えているな、と思った記憶があります。当時のキャッチフレーズは「岩魚と大露天風呂のある宿」で、前身が川魚料理店であったことを伺えるものでした。
 敷地が広々としており、また源泉を抱えていることもあり、離れを3棟造りました。手前より「岩鷲」、「湖鏡」、最奥に「駒形」。それぞれに趣が異なりますが、どこにも共通しているのは完全に独立した一軒家で、内湯として数名でも十分余裕の青森ヒバ風呂を配しているところです。囲炉裏付き客室もありますが、唯一露天風呂を配しているのが「駒形」です。
 離れは3棟のみで、しかも露天風呂付は1軒しか無い関係で、この「駒形」は予約が難しい客室として有名になっているようです。

風呂三昧が愉しめる宿

快晴の露天風呂 清清しい早朝の露天
遠くに奥羽山脈々 青森檜葉の内湯
内湯から露天を眺める 内湯でも十分な広さ

  • この自慢は何と言ってもこの風呂でしょう。
    大きな露天を備えた温泉は福島のお宿花かんざし「片栗」、静楓亭、新潟の福泉「夕光」等が有名ですが、ロケーションが抜群で10名クラス規模の岩組露天風呂となると、そうそうお目にかかれるものではありません。さらに特筆すべきは、内湯も同様の規模を持っているという点です。しかも飲泉用の蛇口も用意されてあります。立派な露天を売りにした客室は数多くありますが、内湯にもこれだけ力を入れている宿は非常に稀と言えるでしょう。
  • さらに驚くのは露天と内湯の源泉が異なることです。どちらも単純泉ですが、内湯は硫黄の臭いがやや強く、青森ひばの浴槽と相まって、昔の良き湯治場の雰囲気を醸し出しており、ゆったり温泉三昧できます。宿主の「数人が入ってものんびり足を伸ばすことが出来るほどの十分な広さを考えた」通り、とろとろ湯の泉質の良さと広さで、思わずまどろんでしまいます。 
    露天も岩を組んで十分な広さを確保しています。肩まで温泉につかっても、手前の御所湖は勿論、秋田駒ケ岳や岩手山を眺められ、時間が経つのを忘れそうです。屋根の無い完全露天と聞いていましたが、3分の2ほどは軒下になるので、雨露をしのぎながら湯浴みをすることが出来ます。

離れ専用のエントランス 離れの3棟
駒形のアプローチ 客室からの夕景
和室 主室と広縁

  • 離れは本館とは別のエントランスから入ります。歩いてくと青森ひばをふんだんに使った離れが3棟続き。各戸とも数寄屋風の客室になっています。8畳の主室と広縁、6畳の副室の構成です。主室からも眺めが良く、陽が沈む頃は西日が部屋の奥まで照らします。
  • 部屋の冷蔵庫にはソフトドリンクやビール、小岩井農場のアイスクリームも入っています。驚くのはどれも値段が控えめであることです。いわゆる旅館相場を遙かに下回った値で設定しており、宿泊者には有り難いことです。本館ロビーに置いてある駄菓子も10円〜40円程度で、儲けを度外視していると言っていいでしょう。これがビールのつまみにもってこいです。
山菜を主とした前菜 川魚主体のお造り
山菜のゼリー和え 短角牛と雫石ステーキ
地元野菜の煮付け 名物 岩魚の塩焼き
  • 夕食は山菜と川魚をメインとした素朴な料理です。妻は川魚が苦手のため、変更をお願いしましたが、造りが湯葉になっただけで、塩焼きも朝食の甘露煮もそのままでした。基本的に変更は難しく、また連泊の場合も同様の料理になるようで、苦手な料理がある方は、事前に問い合わせをしておいた方が良さそうです。
  • 山里料理が好きな方には、ちょうどいいものが並びます。最後の方に登場する岩魚はなかなかで、そのままかぶりつくにも余す大きさです。離れ専用に厨房を持ち、熱い物はそこで調理して運んできます。ただ本館の料理とは大きな変更はなく、上記の牛ステーキが鶏肉料理になる程度だと言うことです。この短角牛は岩手では澄んだ空気と水、無農薬の豊富な牧草に恵まれた広大な草原でのびのびと育てられており、はいわゆる霜降り肉の和牛とは違い、低脂肪で滋味のある良質の赤身肉なので、雫石牛よりも適度歯ごたえがあり、美味しかったです。

  • この宿では夕食時に選んだ箸に絵付けが出来ます。食後に本館の囲炉裏で絵付けを行うと、その箸が朝食に登場し、チェックアウトには持ち帰られるというサービスです。面白い趣向で、上記のようにリンドウとアザミを描いてみました。
    朝食後はポットに入ったコーヒーが登場します。朝には一杯のコーヒーでゆっくりしたいところです。部屋にコーヒーメーカーが無い分、有り難いです。おかわり分もポットに入っているのが嬉しいです。
  • この宿の特徴は「湯を愉しむ」という事に尽きるようです。
    小岩井の牛乳豆腐や盛岡の手造り納豆など、独特の献立も並びますが、地元食材を使用した夕食や朝食は普通の旅館食と考えて良いと思います。それよりも景色を眺めながら露天につかったり、内湯でのんびり足を伸ばしてくつろいだ湯浴みをするのが、最適な過ごし方と言えるでしょう。

    本館には大露天風呂を抱えるだけではなく、足湯もできていました。宿泊客は風呂に入ればいいと思いがちですが、この足湯、夜はなかなかいい風情になっていました。


  • 宿泊日 蛍舞う初夏の夕暮れ
  • 参考価格 25500円

夕食 客室 風呂 サービス 清潔感
10
守られる山里料理 大きな広縁と窓 内湯も露天もあり 素朴なもてなし 湯船も清潔
細やかな対応は不可 静かな一戸建て ロケーション抜群 リーズナブルな料金 適度な清掃

 近場のお勧めスポット
  • 小岩井農場
    岩手山をバックに広大な牧場で自由に遊べます。レストランや土産物店だけでなく、店によって異なるソフトクリームの味が面白いです。
  • 盛岡手作り村
    岩手の郷土品が展示販売されていると共に、様々な体験が出来ます。
  • 番外編 盛岡繋温泉病院
    虫に刺されてアナフィラキシーショックになりそうなところ、大変お世話になった病院。
    医師も看護師も非常に熱意があり、細やかで丁寧な対応に感心しました。土産持参で御礼に参りましたが、そういった事は一切お断りしているという点にまた感心。全国のお手本となる病院でしょう。

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