小布施町 桝一客殿 リラックス型ツイン

 長野県小布施町。
  小布施町は北信濃にあって千曲川東岸に広がる豊かな土地です。特に千曲川の舟運が発達した江戸時代には、交通と経済の要所として栄え、当時は定期的な市「六斎市」がたち、人、物、情報が集まる北信濃の文化的中核ゾーンでした。交通のクロスポイント「逢う瀬」が現在の地名の由来と言われています。
 人が行き交い集まる歴史の中で、当地では独特の文化が花開き、多くの文人墨客が訪れました。小林一茶や葛飾北斎も小布施の魅力に引き付けられた客人の一人で、ここに残された多くの作品は、今でも魅了しています。伝統的に生産されて来た栗菓子製造などの産業や、育まれ継承されてきた独自の文化は、そのまま現在に通じています。
 さてそんな小布施道界隈は、まさに“桝一集落”(下記参照)になっています。桝一村酒造を中核として和風レストランの蔵部、洋食レストランの傘風楼や鬼場など、緑豊かで整然とした街並みに溶け込んでいます。
 その中の桝一客殿は2007年9月2日オープン。桝一主人の「本来、我が家にお泊りいただくところを」の気持ちから、「桝一客殿」と命名したと言うことです。「蔵部」や「桝一市村酒造場本店」を設計した建築家ジョン・モーフォード氏が「小布施に来たら、こんな所に泊まりたい」との思いを自ら具現化した宿です。
 
  長野の老舗砂糖問屋さんから移築した土蔵3棟を中心に7棟の木造家屋により構成され、様相は旅館にも見えますが、内部は完全な都市型ホテルに近いです。

ロビーでは桝一独特の法被姿(蔵部も同様)で迎えられました。これが桝一男性の制服なのでしょう。2名とも若手の男性ですが、ホテル仕様であるので、少々違和感があります。
 桝一客殿は全体を黒で統一してあります。ロビーから中庭に抜けると所に池を配し、漆喰壁と黒のコントラストが鮮やかです。右手側にライブラリー、左手側1.2階に客室を設けています。客室は書斎型/リラックス型/リビング型の3種類あり、全てベッドの洋室仕様です。
   今回は12室ある中から、テラスが付いたリラックス型に宿泊しました。

 
なお正面玄関前に広々とした駐車場がありますが、大型バス専用なので、近くの公共駐車場に駐車しました。しかし夜には数台の自家用車、翌日は別の車が何台も停車してあったので、曖昧さを感じたと共に宿泊者専用として確保するべきだと感じました。

桝一客殿正面 中庭の通路
池を臨む
ライブラリー 客室内テラス

  • B&Bスタイルです。夕食は近くの蔵部(和風の寄り付き料理)か傘風楼(イタリアン)でとります。場所はどちらも桝一から1分程の所に隣接しています。レストランは併設していない分、和食にするか洋食にするか、そんな迷いをしながら散策が楽しめました。最初は場所が分からなかったので、ロビーの方にお願いすると、粋な若い衆が親切に案内をして頂きました。
  • 客室はツインベッドやテーブルなどを配したリビング、化粧室、シャワールームで57uの広さです。実際にはテラスも含めての面積ではないかと思うほど、手狭に感じました。照明は間接を多用して落ち着きますが、窓は1面のみなので、全体的にもっと採光が欲しいと思いました。
  • 室内では備え付けの使い捨てスリッパを着用します。あらかじめこういう用意があるのは、清潔で嬉しい配慮です。
  • 渡されるルームキーは厚さ3p/幅10p以上の木製で、部屋番号は無くてドアの北斎の絵と合わせて入室するタイプです。アイデアは面白いのですが、実用ではかさばって持ち歩きに不便です。散策ならばフロントに預けられますが、蔵部や傘風楼では宿泊証明に携行しなければならないので、スマートさに欠けることになります。
  • テラスに出ることは(出にくいが)可能です。しかし土塀に囲まれていて外の景色を眺めることは出来ません。植栽も結局はプランターに植えられているだけなので、何処か元気がありません。
  • サービス面では冷蔵庫(ソフトドリンク類数本)が無料です。また備え付けのポット、コーヒーや紅茶、カップ類があります。コーヒーやジュース類は24時間無料でルームサービスしてくれるので、有り難い配慮です。また蔵部の寄り付き料理も注文すれば運んできてくれるので、わざわざ室外に出なくてもいただく事が出来ます。
  • ベッドは全体的に硬めで、身体を無理に包み込む事が無いので、休養するにはちょうど良かったです。リラックス型という客室なので、カップル分のソファが用意してあると、よりゆったりできるのではないでしょうか。
    夜は隣室の声も全く無く静謐そのもので、ぐっすり静養することが出来ます。
  • シャワールームは外国の建築家ならではのデザインです。浴槽はガラスで仕切り、湯を入れても透き通っています。十分な深さがあるので、肩までゆったりつかれます。
    浴槽は温まるだけに徹しているのか、桶類は用意されていません。シャワーはヘッドだけではなく、天井にも穴を設けたレインシャワーです。身体を曲げることなく雨のように浴びられるので、非常に清々しかったです。
    シャワー後は若干水が部屋側に漏れてくるところがあるので改善が必要だと思います。
  • 化粧室はステンレスで統一して清潔そのものです。アメニティ類は充実しており、バスローブを始め、タオルも豊富に用意してあるので有り難いです。
ブラウン基調の家具類
プラズマTVやHDD 3枚に切った窓
化粧室
豊富なタオル類
ガラス浴槽 テラス

途中の畑で、大きさは桃、
色はネクタリンの果実を発見。
全くの突然訪問でしたが、
作っている方を探して分けて貰いました。

御礼を差し出したところ、丁寧にお手紙を頂きました。

「この近辺、秋には栗、巨峰、りんご等
果物が豊富に実ります。
是非またお越し下さい。お待ちしています」


機会を設けて訪ねてみたいですね。

  • パークハイアットを手がけた建築家です。
    都市型ホテルに近い仕様なので、日本旅館に慣れた方には不向きかも知れません。
  • 全体的に圧迫感があるのは、客室の構造だけではなく、光の取り方が不足であることや、土塀に囲まれ視界が遮られているからだと思います。緑豊かなロケーションなので、もっと開放的な造りにしたり、リゾート的なプラスアルファの寛ぎを提供してくれると、より上質な時間が過ごせるのではないかと思います。
  • 夕食…蔵部(寄り付き料理)のページ
  • 朝食…傘風楼(洋食レストラン)のページ

  • 宿泊日 晩夏のような風に果物揺らす
  • 参考価格 42000円(2名 朝食のみ) 
  • 桝一客殿の予約   

夕食 客室 風呂 サービス 清潔感
B&Bのため無し
外光不足/水漏れ 快適な浴槽 駐車場不備 塵一つ無い中庭
リゾートの香りを 欲しい明かり窓 24h体制のRS 客室も綺麗

 近場のお勧めスポット

ページトップへ