とおの屋要
岩手県 遠野市


 柳田國男の遠野物語のもととなった町、遠野。
 河童や座敷童子などが登場する「遠野民話」で知られています。沿道沿いは何度か通ったものの、訪れるのはほぼ20年ぶりとなりました。
 「民宿とおの」は60年近くここで営んでいる宿ですが、その近くに2011年9月に誕生したのが「とおの屋要」です。ダイニングレストランと1日1組限定の宿が併設されており、食を堪能したい方にはもってこいの宿と言えるでしょう。
 チーズ/プロシュート/からすみを始め、特区にもなっているどぶろくなどの発酵食品にも造形深い若きご主人、佐々木要太郎氏の食を愉しめるオーベルジュの誕生です。

 新しくなった「とおの屋要」はこちらから。

食を堪能できるお宿

ダイニング 
 灯されたランプ  盛岡の地ビール
 椀物 白味噌仕立て  お造り
料理を引き立てる器
毛蟹しんじょう  鰹の焼き物 
鮑  ミルキーなどぶろく 
 大根を八丁味噌で  雲丹と伊勢エビ
 出汁のきいた茶漬け  デザート
   
 朝食は洋室で 
 
  この他にも蟹味噌であえたタラバ蟹等も登場 
 
   
  • 夕食は併設されているレストランでいただきます。移築された古民家には懐かしのランプが灯され、情緒たっぷりです。テーブルは5つほどありましたが、この日は私たち1組のみでした。(宿泊時のみレストランを開放していないのかも知れません)
  • 形や彩りばかり追いかける料理人が多い中、本当に美味しい旬の食材を集め、それらが持つ本来の力を出していた料理だと思っていただきました。手をかけすぎないように配慮しながら、美味しくするにはどうしたら良いのか、足し算の考えも併用しつつ、引き算を試みるのも大変なことだと思います。食材がもつ味の中に放たれた手技や隠された施しに魅了されたひとときでした。
  • 焼き物で登場した鰹は1.2週間熟成させたのでしょうか。溶けるような柔らかさと独特の奥深い旨味が忘れられません。
  • 器もあくまでも脇役として専念させて、料理を引き立てるにはどれを合わせたら良いのかよく考えられていました。六角の花器を大胆に使う発想の豊かさも感じ、なかなか愉しいひとときを過ごせました。
  • からすみやどぶろくも素晴らしかったです(実は親父も昔は堂々とどぶろくを造っていました)。最近口にするどぶろくは癖のあるのが多いのですが、ここのどぶろくは別格!フレッシュな酸味とミルキーな喉越し。スイスイ泳ぎ心地でいただきました(笑)。
  • 自家製どぶろく「白ラベル」「黒ラベル」はこちら。
  • 自家醸造どぶろくはほんの一部と言うほど、発酵/熟成食品を手がけています。「チーズ」「生ハム」「からすみ」「酢」…
    酒の肴として垂涎モノです(笑)。
  • 私たち夫婦にとっては大変満足できた料理でしたが、高級食材が沢山登場し、原価計算は大丈夫なのかなと心配しました。妻が川魚/牛肉を苦手としていたので、無理して魚介系食材を集めたのではないかと少々気がかりでした。
  • ご主人一人で食を担当されます。夫婦の会話と好きなBGM、静かな3時間の晩餐が終わりを迎えたのは22時近くでした。
   
 
エントランス周辺  
 
 雪が舞った朝 
 
   
 
古家具が置かれた廊下  
 
  洋室 
Bang & Olufsen  
   
 
和室 廊下 
 
化粧室  檜風呂 
 アメニティ類 
  • エントランスより入って右側が客室スペースになっています。廊下伝いに洋室と和室(寝室)がそれぞれ8畳ほど、化粧室と風呂は独立、トイレは2カ所あります。
  • 洋室には畳の小上がりスペースがあり、脇にはBang & Olufsen/うすはりグラス/冷蔵庫(ドリンクサービス)などが設置してあります。和室は最初から布団が敷かれています。
  • 浴衣は男性用で数種類、女性用で10種類ほどあります。あらかじめ準備してあるので、お気に入りに袖を通すことが出来ます。
  • 改善するには難しいと思いますが…
    ・和室に関しては全面フローリングにして椅子を設けるか、全て畳にした方がリラックスできるのではないかと思います。
    ・廊下面積を住居スペースや水回り空間として転換することで、より面積が確保された素敵な居室になったと思います。
    ・2室は思い切って続き間にした方が使い勝手に優れたのかも知れません。
  • 調理場/事務所と客室は繋がって自由に行き来できるので、風呂上がりの服装に気を遣いました。間仕切りをするか衝立等で完全に独立してプライバシーを保った方が良いと思います。
 
   
レストランの屋根裏は
ギャラリースペース 
   
  • この宿は温泉ではありません。またサービスフロアもありません。
    そのかわり「夕食を堪能したい」「器を愉しみたい」方には最適と言えるでしょう。家族での宿泊もOKでしょうが、ここは是非カップルで訪れたいお宿です。
    美味しい旬の食材と熟成された発酵品が登場するのは喜びです。1組限定なので週末の予約は少々難しいかも知れませんが、同経営の「民宿とおの」やBHに宿泊してこちらで夕食をいただくということも可能だと思います。
  • チャックアウトをするときに靴の暖かさに驚きです。いろいろな宿に泊まりましたが、これは初めてです。
    妻と一緒に顔を見合わせながら、草履を暖めた秀吉を思い出しました(笑)。
  • 宿泊後に感謝を伝えたところ…。
    私にとって「要」にとって素晴らしい財産だなと感じております。私の成功とは、大金を掴みとる事や権力を得る事でもなく、有名になる事でもない。成功とは仕事を終えた後の充実感や、素敵な出会いをどれほど経験出来るか。
    恥ずかしながら、そんな事をいつも考えております。

    彼の考え方、立ち位置に素晴らしさを感じます。
    久しぶりの遠野は再訪も20年後…いえいえ。美味しいものをいただきに、また伺いたいと思います。

  • 参考価格 23000円  
  • とおの屋要の予約
夕食 客室 風呂 サービス 清潔感
荒削りながら… 普通の居室 檜の浴槽 こだわりご主人に◎ 隅々まで綺麗
愉しめる酒や器 備品類は充実 足が十分伸ばせる長さ 客本意に立った姿勢
 

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