鷹の巣温泉 四季の郷 喜久屋 四季亭
新潟県と山形県の県境、関川村。
荒川に架かる吊り橋を渡ると別荘式に建ち並ぶ離れ。温泉郷では最も上流の荒川峡谷の真っただ中に位置しており、素晴らしいロケーションが広がります。
この吊り橋には隔世の感があります。ここを渡れば辺境の地にたどり着くといった所で、まさに先にあるのは遠隔の宿です。
この鷹の巣温泉は3軒の宿があります。鷹の巣館があり、その奥に四季の郷喜久屋があります。
吊り橋前には10台程度駐められる無料の駐車場があります。車の悪戯防止にシャッター付きの有料駐車場を探しまたが、、近くにはそういった建物はありません。尋ねてみると1q先にあるというので、そちらまで走って駐めました。その後宿の車でまた吊り橋まで戻りました。乗車した軽自動車で吊り橋は通行可能でしたが、せっかくだったので一度車から降りて、その先は歩いて宿に訪ねることにしました。
ちょうど新緑の季節だったので、荒川の流れと共に通り過ぎていく風も心地良いです。川面を眺め、青々とした新緑を眺め、温泉で湯浴みをしたわけでもないのに、これだけで十分心が和んできます。
喜久屋は一軒家の離れが8棟あるだけの静かな温泉です。母屋でチェックインした後は客室に向かいます。宿は改装した部分とそうでない部分が共生しており、昔ながらの家屋は自炊宿といった雰囲気を醸し出しています。リニューアル後の離れは大きく川側と山側に分かれます。川側は眺望が開けますが、山側は景観に劣ると思われます。山菜自慢の宿らしく、敷地内にはタラの木、三つ葉、こごみ、コシアブラなど何種類もの山菜が植えられています。
吊り橋を渡る辺境の地
吊り橋 | アプローチ |
母屋と離れ | 離れ 四季亭 |
10畳の和室 | 食事処 |
ベッドルーム | テラス |
客室からの眺め | |
新緑眩しい景観(手前は山野草のタラの木) |
- 山の中の辺鄙な遠隔地。新緑の季節が一番輝いている場所でしょう。ここをもし冬に訪れるとすれば、2メートル近くの降雪に耐えられる車と誰一人会うことに疲れた傷心が必要かも知れません。
- 四季亭は離れの中で一番奥まった所にあります。玄関をあがると10畳の和室と6畳ほどの食事処、8畳のベッドルームという構成になっています。その他に内湯と露天風呂があり、どちらも源泉掛け流しです。離れは荒川沿いに建っており、食事処やテラス、露天風呂からも眺めることが出来ます。橋を渡って他の車が来ることはないので、近隣の騒音はありません。但し川向こうに国道があるので、この音がたまに聞こえてきたり、折角の景観を惜しむことになったりします。
- まさに緑が眩しいときでした。川側のテラスではコーヒーをいただきながらのんびり森林浴です。
- GWを外して宿泊したためか、この日の泊まりは3組のみで、大浴場に寄ってみても誰にも会いませんでした。男女別になっていますが、男性用は露天のみで洗い場も外、女性用は景観に欠ける半露天形式です。特に時間帯に寄っての入れ替えはないようです。離れはリニューアル済みですが、この浴場はたぶん昔のままの手つかずでしょう。趣と清潔感に欠けるところがあるので、早い段階で改装した方が評判はもっと良くなると思いました。
繋がっている内湯と露天 | |
一部岩組の露天風呂 | |
カップ類も充実(コーヒーも客室内でOK) | |
化粧室は最低限 | |
- 内湯も外の露天風呂も源泉掛け流しです。湯口では少々濁ったように見えても、湯船では溶けるように透明になる変わった湯です。ほどほどにとろとろっとしていて、湯浴みにはちょうどいい案配です。
広さはこぢんまりとしており、内湯は一人用と考えた方が良いです。露天は岩組をしていますが、上部のみ。リニューアル時に後から岩を積み上げた感があります。川向こうに道路がありますが、100メートル以上離れているので、視線は全く気になりません。 - コーヒーや紅茶、緑茶などが客室に備えてあり、自由に飲むことが出来ます。最近はこういった宿が増えてきて、朝一番のコーヒーが自分の好きな時間に自由に飲めるのが有り難いです。冷蔵庫にはビールやジュースの他に冷酒が数本置いてありました。化粧室はシングルタイプで、アメニティ類も簡素です。
バスタオルは2枚置いてありますが、肌触りも乾燥具合もいまいちで、あまり感触がいいものではありませんでした。バスローブもありましたが、薄手タイプなので使用しませんでした。 - 客室内は使い勝手は良いですが、食事処や露天風呂が北側に面していると思われ、採光の関係で幾分暗い感じがしました。ただトイレや玄関も広々としており、住空間としては申し分ありません。
山菜盛り合わせ | お造り |
筍沢煮椀 | 八寸 |
昌和蔵 純米大吟醸 | 大洋盛 越淡麗 大吟醸 |
別注の骨蒸し | ふきのとうのシフォンケーキ |
- 今回は誕生日が近かったので「一期一会バースデープラン」で申し込みました。これは上記のバースデーケーキとスパークリングワイン(ハーフ)、それに料理が1品多くなるというものです。これらの夕食朝食は客室内の食事処でいただきます。
- さてここの夕食はまさに山菜づくしです。先付や八寸はかたくり/行者ニンニク/ふきのとう/しどけ/ぜんまい/月山筍/いたどり/ツクシヤマウド/カンゾウ…挙げていくときりがありません。ただどれも味付けを微妙に変えてあるので、楽しみながら箸を進めました。また一口サイズなので、酒の肴にぴったりでした。その他に天ぷらや酢の物、最後のケーキまで山菜入りで来客を驚かせます。
また山間ながら岩船港が近いので、新鮮な魚介類も登場します。別注の骨蒸しや鯛のカブト煮やカスベの煮付けはなかなかの味わいでした。 - この宿の自慢は山菜だけでなく、新潟の日本酒を豊富に置いてあるという点です。
- 越乃寒梅、八海山、久保田、〆張鶴、大洋盛、雪中梅、吉乃川…など著名な酒を愉しめるというので、試したことがない昌和蔵の純米大吟醸、大洋盛の大吟醸などを注文しました。自宅でも新潟の酒を中心に呑んでいますが、総じてどの酒も旨くて質が高いです。
- 朝食も離れまで運んできてくれるので、殆ど客室から出ず仕舞でした。それもベッドルームや和室が別にあるので、寝起きのまま朝食をいただきました。
- 喜久屋は離れは改装が済んだものの、本館や厨房、大浴場などは昔のままです。石油タンクや段ボール、ホース類といった日常品が目隠しされておらず、折角の旅情緒に釘を刺す結果となりました。また精算時に初めて女将と若女将に対面しましたが、2人一緒に出てくるのであれば、チェックインでとアウトで分けるべきでしょう。
HPではカード使用可能になっているにもかかわらず、追加の飲食料理代は現金のみという対応は不適切でした。
「当旅館はカードだけではとてもやっていけませんから…」。
女将としてはお詫びの言葉か粋な返答を期待したいものです。 - この宿に欲しいのはライブラリーやバーといった共有スペースでしょう。こういったものが無い分、離れに宿泊しただけでは、温泉宿というより何処かの別荘と何ら変わりないことになります。母屋の古い建物が早くいい空間に生まれ変わることを期待します。
- 隔世の雰囲気を醸し出す鄙びた旅館なので、上記のような細かな配慮をしていくことでより旅人に愛される宿になっていくと思います。なお今回担当して頂いた仲居さんは、若いながら心遣いが行き届いている方で、2日間非常に気持ちよく過ごすことが出来ました。機会があれば、是非同じ方にお願いしたいと思いました。
- 宿泊日 新緑眩しいバースデー
- 参考価格 36900円
- 四季の郷 喜久屋の予約
夕食 | 客室 | 風呂 | サービス | 清潔感 | |
7 | 7 | 6 | 8 | 6 | |
山菜づくし | ほどよい広さ | 源泉掛け流し | 仲居さんに恵まれる | 離れはOK | |
海の幸も新鮮 | 硬いベッド | 華がほしい露天 | 銘酒を常備 | その他は改善要 |
近場のお勧めスポット